エンジニアである私のおじいさんがくれた初めてのキャンディ

エンジニアである私のおじいさんがくれた初めてのキャンディ
それはヴェルタースオリジナルで私は四歳でした
その味は甘くてクリーミィで
こんな素晴らしいキャンディをもらえる私は
きっと特別な存在なのだと感じました
今では私がエンジニア
彼女にあげるのはもちろんMac OS X Mountain Lion
なぜなら彼女もまた特別な存在だからです

Mac Book Air(Mountain Lion)に関する話です

初めて付き合った人は同じ学校の2つ年下の人でした。 当時僕は20歳でした。
学生生活最後の数ヶ月と、社会人になってから1年少しの間 付き合っていました。
ただし僕達の地元は九州で就職で東京に行くことになっていました。

いや、それからの彼女との詳細はいろいろと、 長い話になりますし、とりとめのない話で、 かつ思い返すことはすこし心が重くなることなので また今度にします。

とにかく社会人1年目の安い給料でなんとか買って彼女に送ったのが Mountain Lionでした。
購入する前の日の晩、彼女と電話をしていました。

彼女曰く 学校の課題をする中で、どうしても自宅でPCを使った作業が必要だったものの 家のVistaのノートPCが壊れてしまった。
担当教員に話をしたところ すこし小馬鹿にされた感じで古いmac bookを貸してもらえた。
ところが、ログインのパスワードがわからない。

—- そういえばそこで僕はセーフモードみたいな方法でログイン、 またはマウントしてusbにデータを移して友達のPCで見れないかと思い、 なんとかskypeで操作してもらいながら試行錯誤したものの 結局だめでした。

失敗に終わりました。

彼女は
「もうだめそうだけど、黒い画面で文字を打って、ハッカーみたいでたのしかった!」
と言ってくれました。 僕に気を使ってくれたのです。
女の人はそういう顔をしてくれる時があります。

彼女の課題について、 彼女がその後どうしたのかという記憶はあいまいになってしまったものの その時僕は困っている彼女に対してなんとも言えない感情が湧きました。
僕はあの感情に対して良い語彙を持ちません。
考察してみると 少量の同情もあります。 自分の彼女に苦労や不便をかけたくないという気持ちも少しあります。
嫌な言い方ですが無意識レイヤーには所有欲という概念もあるのでしょう。
まだ他にもなにかがあると思います。
あ、大事な事を書いていないですね。
彼女への愛情です。もちろん。
でも何か明るくない面もありました。

その感情は僕をApple Storeのサイトにアクセスさせました。
一番いいものを買いました。Mac Book Airの13inchの一番スペックの良いものを買いました。

気がつくと外が明るくなっていました。
つまり僕は電話を受けた日の晩から、数時間、あの気持にとらわれていました。

「朝はやくに悪いね」と言いながら、彼女に電話をしました。
彼女の反応は言うまでもありませんでした。
僕も会社に行かねばならず、彼女も学校に行かねばならず 短い要件だけ電話で伝え、メールを送りました。

エンジニアである私のおじいさんがくれた初めてのキャンディ
それはヴェルタースオリジナルで私は四歳でした
その味は甘くてクリーミィで
こんな素晴らしいキャンディをもらえる私は
きっと特別な存在なのだと感じました
今では私がエンジニア
彼女にあげるのはもちろんMac OS X Mountain Lion
なぜなら彼女もまた特別な存在だからです

非常に楽しい思い出の裏側にあるあの感情の話です。
まるで幸せな話のように書きました。